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高校生以上

柴田綾子さんからのお便り

こんにちは。お手紙ありがとうございました。私もおかげさまで今春から大学生になりました。しかし、大学に入って自由が広がったとたん環境問題から目をそむけ 自分とは違う世界のことと感じるようになってしまっていたことに気づきました。

「私達は地球を壊して生きていくしかないんだ」これは私がアルバイトをして感じたことです。スーパーでは私はムダなもの(今、本当に必要だから買うというより、欲求を満たすために買う人がほとんど)を必死で売りつけ、ある時は工場のラインでガラスのコップを箱に詰めることを一日中やりました。日本中で毎日こんなことが繰り返されているのかと思うと頭がくらくらしました。働くってこういうことか。生きていくってこういうことか。社会に出るということは、大量生産・大量廃棄の資本主義の流れにのっていくことなのか・・・・。

「今までは、自分は地球に配慮して暮らしている」という自負があったからこそ、無神経な社会・周りの人に対する怒りを少しでも何かを変えていこうとする行動に移すことができました。しかし、生きるためには破壊側に回らざるをえないと知ったとき、「地球破壊は必要悪なのか」と考えるようになりました。自分も加害者側にいること。

「地球のガン細胞」であることを自覚して、例えば食事前の(他の動物の命を)「いただきます。」というような謙虚な姿勢で日々生きていくしかないのではないか、もう昔の自然に戻すことはできない、地球破壊の流れを止めることは出来ない。私達にできることは、あとどれだけ地球を持たせることができるか、「寿命」をのばせられるかだ、と。しかし そうやって あきらめ、自分から働きかけることをやめてしまっていました。
そんな時、林さんからの手紙が届きました。自分の手紙が少しでも役に立って非常にうれしく思い、そしてあの頃の気持ちを思い出しました。私のやりたいことは、こういうことだ、環境に関わる仕事に就きたいと思うようになりました。

私は、大量生産・大量消費に大量リサイクルを付け加えただけの今のやり方に疑問を感じます。消費者の罪悪感を和らげるため、環境にやさしいことを宣伝するために行われるリサイクルではなく、回収から製品までをトータルで考えて本当に地球への負担が少なくなるようにするべきです。
ソーラーパネルでは、ケイ素採掘時、パネル製造時、古紙再生では回収費用・廃水・電力消費までを考える。私は確立された比較方法がない今のところはコスト(採算が合うかどうか)が一つの目安になるのではないかと考えています。

本で「動脈産業・静脈産業」という概念を知りました。今の日本では 回収・再利用をうけもつ静脈産業を自治体が代行しています。しかし税金によって行われるごみ処理・リサイクルでは採算を考える必要がなく、その結果 本来はリサイクルされるべきではないものまで無理にリサイクルしてしまう無駄を生みだしています。私は厚生省の「ごみ処理施設の大型化・広域化」をあまり良いとは思いません。常時運用のため 大量のごみを必要とし、ごみの減量という最終目標とずれていると思うからです。再利用能力以上に回収され、山積みのままのペットボトルや古紙はごみ発電として燃やした方がいいのではないかと思います。
たしかに せっかくここまで分別意識が高まったのに、ということはあります。しかし、リサイクルは あまりにもエネルギーを消費しすぎていて逆効果なようにおもえてなりません。
燃えるごみは(PET・石油製品・紙・布)は一括して出してもらう、そして全体の総量に応じてお金を払ってもらう。

リサイクルしていれば許されるという今の現状を変えなければいけません。リサイクルにもコストがかかること、今のままでは、リサイクルをどんなにしても、地球はよくならないことを知ってもらわなければいけません。すでに建設されてしまった大型プラントを最大限に活用するべきです。そして今までリサイクルで使われていた人々のエネルギー・税金は自然の回復(森林・河川の多様性、干潟・水質・大気の回復))など地球のために、次の世代のために使うべきだと思います。

水素燃料・バイオマス・ごみの固形化・・・すばらしい技術が次々と実用化されています。それらの技術の裏には、今の大量消費生活を続けたいバブル期のような右肩上がりの時代をもう1度・・・という私達の欲望が潜んでいるからです。
私達は物質的に十分豊かになったと思います。それなのになぜまだ経済成長をプラスにすることにこだわるのでしょうか。
自然にやさしくすることは、不便をがまんしたり義務を負わされるといった苦しい事ではありません。質的に豊かな暮らしをおくる、心のゆとりをとりもどす、健康的に生きる、人間にもやさしい生活です。(人間も自然の一部です)

大切なのは、生活の意識を変えることです。物質的豊かさから質的豊かさへの転換です。そのための変化・制度が必要だと思います。
動脈産業への規制・静脈産業への補助・優遇で産業構造変化を促し、将来的には自治体の静脈産業への介入をなくすべきだと思います。資本主義の中で弱くなりがちな静脈産業が成り立っていけるようなしくみを整えていくべきだと考えています。

お手紙本当にありがとうございました。私も地球が少しでもよくなるように自分なりにできることをがんばっていこうと思います。